熱可塑性樹脂であるポリスチレンは、成形品を加熱溶融させて繰り返し可塑化して2次加工或いはリサイクル使用する事ができます。射出成形品のランナー部分やシートの端材等の粉砕再利用が代表的なものです。またこれら成形加工の現場の中のみのリサイクルに加え、最終消費者の使用後のリサイクルの重要性がますます増して行くものと考えられます。
この時、加熱と冷却を繰り返される事による劣化、粉砕による劣化の程度が重要な問題となります。
劣化の種類と各種物性への影響には次のようなものがあります。
- 分子量の低下:
粘度が低下して流動性が増す一方で、強度が低下する。流動性向上により配向が少なくなるため落錘衝撃試験(面衝撃試験)のような配向に沿っての破壊は起こりにくくなる場合もある。
- 樹脂の熱分解:
熱分解により、低分子量の成分が発生する場合、それらは可塑剤として寄与するため、流動性の向上と耐熱性の低下をもたらす。
- ゴムの架橋:
HIPSではゴム粒子が架橋して硬くなるために、シャルピー衝撃値が低下する。一方で、成形時の配向によるゴム粒子の変形が少なくなるため、錘衝撃試験(面衝撃試験)のような配向に沿っての破壊は起こりにくくなる場合が多い。特に、粒子サイズの小さい高光沢のグレードでこの傾向が大きい。弾性率と低速の機械的強度は増す因子となる。
- 添加剤の分解:
難燃グレードでは、難燃剤の分解が物性に大きく影響する場合がある。分解物は可塑剤として働く場合が多いが、難燃剤の種類により、その影響は様々である。
- 異物の混入:
以下の管理された実験と異なり、実際のリサイクルでは異物の混入が発生する場合がある。異物があると衝撃強度が著しく低下し、低速変形でも破壊ひずみが小さくなる。
ここでは、HIPS(一般および難燃)の幾つかのグレードについて、200℃設定の押出機を5パスさせた場合の各種物性の保持率の測定例を示します。
| 各グレードのグラフ中の略号の意味は次の通りです。 |
| TS :引張降伏応力 |
FS :曲げ強さ |
| FM :曲げ弾性率 |
C−IMP:シャルピー衝撃 |
| FDI:落錘衝撃強度 |
VSP :ビカット軟化温度 |
| MFR:メルトフローレイト |
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